労務担当者の悩みと責務について考える。社員のお金教育は誰がやるの?

労務担当者として働いているときによく悩むのが、「お金(税金・社会保険)に対する社員の知識レベル格差が大きすぎる」という点です。

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労務担当者の悩み

同じ会社の中でも、お金に関する知識レベルがあまりにも違うので、問い合わせを受けたときにどこから説明するのかを毎回見定めないといけません。

例えば、扶養について説明するときです。
「扶養って何だっけ?」という人から、「最新の法改正までなんとなく把握しています。」という人まで知識レベルは様々。問い合わせを受けた際には、「この人はどこまで理解しているのか?」を見定めて説明をしなければなりません。

基本的なところから説明していると、「そんなことは分かっているよ!」といった反応をされてしまうケースもあります。
会話の中で、相談相手の知識レベルを推測しながら適切な説明をしていくことが労務担当者には求められます。

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お金の教育を義務教育で行うべきか?

社員ごとにこんなにも知識レベルが異なる原因は、学校教育で教えていないからという答えに行き着くのでしょう。学校教育で学習機会を与えられていないから、自分で調べたことがあるかどうかが大きな格差を生んでしまいます。

では、税金や社会保険制度のことを義務教育でもっと教えるべきなのでしょうか?

この意見については半分賛成で半分反対です。

まず、すでに累進課税や日本の年金制度のことについては高校を出るまでには学んでいますよね。それ以上の細かい制度については法改正が毎年のようにあるので、義務教育で教えても効果は薄いのではないかなと思っています。

学校教育は、「社会ですぐに役立つ知識」よりも、「社会に出て知らない知識に出会ったときに自分で調べて理解できる基礎学力」を教える場だと思っているので、細かい知識を教えるぐらいなら基礎学力を教える時間を増やした方がいいんじゃないかなと思います。

細かい知識は、大学で学んだり、働くようになってから自分で学べば充分ではないかなと。

お金を学ぶきっかけづくり

では、「お金に詳しくない人は自己責任だから自業自得だ」と、突き放しても状況は変わりません。

ここで大きな可能性を秘めているのが労務担当者です。
年末調整や定時決定、退職金制度などなど、誰もが知っておくべきお金に関する知識を労務担当者はたくさん保有しています。

これらの知識を分かりやすくかみ砕いて説明してあげることで、社員の学ぶきっかけを創り出すことができます。

労務担当者が年末調整について少しでも分かりやすく説明すれば、従業員全体のマネーリテラシーを向上させることができます。
この影響力ってバカにならないと思うんですよね。

難しいお金の制度をいかにして社員に興味を持ってもらえるか?
企業の労務担当者として今後はそんなことを意識していきたいです。

労務担当者の責務

ここまでの意見を聞いて、
「別にそこまでやる必要はないんじゃない?」
と思われる方もいるかもしれません。

確かに、終身雇用が当たり前の時代では、お金の教育なんてそこまで求められませんでした。
なぜなら企業が老後も含めて面倒をみてくれるからです。

ただ、最近では企業が終身雇用を放棄しつつあります。
終身雇用を放棄している企業の労務担当者であるならば、お金を学ぶきっかけを社員に与えてあげることも労務担当者の大きな責務なのかなと思います。

時代が変わってきているからこそ、労務担当者の役割も必然的に変わっていきます。
時代遅れな労務担当者にならないように、日々自分の職責を問い続けたいなと思う次第です。

また、このサイトがお金を学ぶきっかけを与えられたらいいなと思います。