企業の健康保険組合別・健康保険料率ランキング【2018年】(組合健保・協会けんぽ)

2018年8月15日社会保険

健康保険料の料率は加入する健康保険組合ごとに異なることはあまり知られていません。

「国の制度だから料率なんてどこも一緒でしょ?」
と思っていたら、大間違い。
健康保険組合によって料率は大きく異なるのです。

今回は、そんな健康保険料の料率について、組合別ランキングを作成しました。
一つ一つサイトを訪問し、調べたのでとても時間がかかりました、、
結果は想像以上に大きな差でした。
大企業の従業員が優遇されていることを改めて実感します。

健康保険の組合の種類について

調査結果の前にまずは、健康保険組合について簡単に復習です。
(健康保険組合の種類について詳しい方は、この章は飛ばして下さい。)

被雇用者が加入する健康保険には大きく分けて3つの組合があります。

【健康保険組合の種類】

・協会けんぽ
・組合健保
・共済組合

それぞれの健保組合についてざっくりと概要をご説明します。

協会けんぽ

1つ目の「協会けんぽ」。
こちらは、主に中小企業の従業員が加入しております。
なぜ、中小企業なのか?
もちろん大企業も加入できるのですが、大企業は後から説明するように自身で健保組合を設立してしまうのです。

協会けんぽの特徴】

加入者:中小企業の従業員がメイン
運営者:全国健康保険協会
保険料率の決定方法:全国健康保険協会が都道府県ごとに決定
労使の負担割合:労使折半(労働者50% : 事業主50% )

ここで知ってもらいたいのは、料率は都道府県ごとに一律で決められているということです。

組合健保

2つ目の「組合健保」。
大企業は、協会けんぽには加入せず、独自で健康保険組合を設立することができます
詳細は割愛しますが、一定以上の従業員がいれば、企業一社で独自の健康保険組合を作れます。(単一型)
また、中小企業であっても、同業種の複数の企業が集まって独自の健康保険組合を設立することも可能です。(総合型)
これらの独自の健康保険組合を「組合健保」と呼びます。

組合健保の特徴】

加入者:大企業の従業員がメイン
運営者:それぞれの健康保険組合
保険料率の決定方法:それぞれの健康保険組合で独自に決定(3%-13%以内)
労使の負担割合:独自に決定

独自で設立した組合健保では、保険料率を自由に設定することが可能です。(限度有)
更に、会社と労働者の負担割合も自由に決めることができるのです。(協会けんぽは50:50)

共済組合

3つ目は「共済組合」です。
上記2つの健保組合とは別にして、公務員が加入する健康保険が「共済組合」です。
共済組合は、1つではなく、「総務省共済組合」・「防衛省共済組合」などのように組織ごとに分かれています。
また、地方公務員は「北海道市町村職員」・「青森県市町村職員」などのように47都道府県毎に組合が分かれています。
更に、公務員ではなりませんが、私立学校の教職員が加入する「私立学校共済組合」もあります。

共済組合の特徴】

加入者:公務員
運営者:それぞれの健康保険組合
保険料率の決定方法:それぞれの健康保険組合で独自に決定
労使の負担割合:労使折半(労働者50% : 事業主50% )

以上が健康保険組合の大まかな概要です。
健康保険組合は大きく3つの種類があり、それぞれ健康保険料率の決められ方が異なることを理解できましたでしょうか。

では、それぞれの保険料率はどれぐらい異なるのか?
まず、協会けんぽの保険料率を見ていきましょう。

協会けんぽ保険料率ランキング(2018年)

【保険料率が低い都道府県ベスト3】

個人負担 会社負担 合計
新潟県 4.815% 4.815% 9.630%
長野県 4.855% 4.855% 9.710%
静岡県 4.885% 4.885% 9.770%

【保険料率が高い都道府県ベスト3】

個人負担 会社負担 合計
佐賀県 5.305% 5.305% 10.610%
徳島県 5.140% 5.140% 10.280%
大分県 5.130% 5.130% 10.260%

全都道府県の料率が知りたい方はこちらのページをどうぞ。

保険料率は、その地域の医療費によって決められています。
最も低い新潟県と最も高い佐賀県の差額は、約0.5%でした。(個人負担割合)

ここで知ってほしいのは、保険料率は個人負担でだいたい5%ぐらいが相場ということです。
この5%を基準とお考えください。


企業別・組合健保の健康保険料率ランキング(2018年)

それではメインである、(だいぶ前置きが長くなりましたが、、)大企業が設立した組合健保の料率を見ていきたいと思います。
まずは、単独の健康保険組合のランキングです。

健康保険組合保険料料率ランキング(単一型)
調査方法:組合健保のホームページ
調査対象:時価総額TOP30 (2018.6.26)の企業及び個人的に気になった企業
調査対象数:100社 (内、料率を公開していた会社76 HPで未公開のため不明な会社24)

企業名 個人負担 企業負担 合計
アステラス 2.60% 4.40% 7.00%
スバル 2.77% 5.53% 8.30%
三菱自動車 2.87% 4.13% 7.00%
安田日本興亜 2.88% 5.12% 8.00%
東京証券業 3.00% 4.80% 7.80%
トヨタ自動車 3.00% 5.30% 8.30%
東京ガス 3.02% 5.78% 8.80%
ANA 3.05% 4.89% 7.94%
デンソー 3.19% 5.01% 8.20%
三菱 3.19% 5.71% 8.90%
JAL 3.20% 5.20% 8.40%
サントリー 3.25% 3.85% 7.10%
花王 3.27% 5.13% 8.40%
ソニー 3.28% 4.92% 8.20%
ホンダ 3.32% 4.98% 8.30%
信越化学 3.33% 4.17% 7.50%
野村 3.38% 5.42% 8.80%
明治安田生命 3.40% 4.80% 8.20%
三菱重工 3.46% 5.14% 8.60%
村田製作所 3.47% 4.73% 8.20%
カシオ 3.48% 5.22% 8.70%
MSD 3.49% 4.21% 7.70%
住友不動産販売 3.50% 3.50% 7.00%
三井 3.50% 5.40% 8.90%
パナソニック 3.51% 5.49% 9.00%
富士フィルム 3.52% 4.94% 8.45%
JFE 3.54% 5.06% 8.60%
武田薬品 3.54% 4.84% 8.38%
オムロン 3.59% 5.42% 9.00%
シャープ 3.68% 5.52% 9.20%
東芝 3.68% 5.32% 9.00%
丸井 3.69% 4.51% 8.20%
日立 3.70% 5.00% 8.70%
日産自動車 3.74% 4.96% 8.70%
アサヒグループ 3.75% 5.95% 9.70%
明治グループ 3.77% 5.93% 9.70%
資生堂 3.78% 4.82% 8.60%
ジェイティ 3.80% 3.90% 7.70%
オリンパス 3.80% 4.70% 8.50%
東京西南私鉄連合 3.80% 5.70% 9.50%
ダイキン工業 3.80% 5.70% 9.50%
ロッテ 3.80% 5.70% 9.50%
リクルート 3.85% 4.15% 8.00%
東京ドーム 3.88% 5.02% 8.90%
日本電子 3.90% 4.70% 8.60%
富士通 3.92% 4.88% 8.80%
味の素 3.97% 5.63% 9.60%
ワークスアプリケーションズ 4.00% 4.00% 8.00%
第一生命 4.00% 5.00% 9.00%
楽天 4.05% 4.05% 8.10%
KDDI 4.10% 4.10% 8.20%
スターバックスコーヒージャパン 4.15% 4.15% 8.30%
SMBCコンシューマーファイナンス 4.16% 5.07% 9.23%
小田急グループ 4.20% 6.10% 10.30%
アルバック 4.25% 4.25% 8.50%
任天堂 4.28% 5.35% 9.63%
HOYA 4.30% 4.30% 8.60%
JR 4.30% 4.70% 9.00%
キリンビール 4.34% 5.03% 9.37%
日本製紙 4.35% 5.65% 10.00%
全農 4.37% 5.63% 10.00%
サンリオ 4.43% 4.76% 9.19%
京セラ 4.45% 4.45% 8.90%
ビックカメラ 4.45% 4.45% 8.90%
名古屋鉄道 4.52% 7.02% 11.53%
NTT 4.56% 4.71% 9.27%
丸紅連合 4.65% 4.65% 9.30%
コーセー 4.65% 4.65% 9.30%
ファーストリテイリング 4.70% 4.70% 9.40%
三菱鉛筆 4.70% 5.30% 10.00%
イトーキ 4.75% 4.75% 9.50%
伊藤忠連合 4.80% 4.80% 9.60%
マツモトキヨシ 4.85% 4.85% 9.70%
ジャパンビバレッジ 4.85% 5.40% 10.25%
日本年金機構 4.90% 4.90% 9.80%
SGホールディングス 5.00% 5.00% 10.00%
日本マクドナルド 5.35% 5.35% 10.70%

【備考】
・小数点第3以下は四捨五入。
・調整保険料は含む。介護保険料は除く。
・「東京西南私鉄連合」とは東急、京王、京急電鉄などが加入する組合健保。戦前は一つの会社だったようなので、単一に分類。

私の調査で最も個人負担の料率が低かった企業は、アステラスでした。
その料率なんと2.6%
保険料率の合計が7%と通常より低いだけでなく、事業主が保険料の約63%を負担しているので、個人負担がとても低く抑えられています。
「トヨタの健保は料率が低い」と聞いておりましたが、それよりも低い組合が複数あったとは驚きです。

反対に、個人負担が最も高かったのは、マクドナルドの5.35%
協会けんぽ(東京)より高い割合なので、独自に組合を作るメリットをあまり感じられません。

同じ給与金額をもらっていても、控除される健康保険料は、マクドナルド社員はアステラス社員に比べておよそ2倍大きいことになります。=その分手取りが減る。

健保の組合が違えど医療内容は変わらないので、不公平感をどうしても感じてしまいますね。

健康保険料率がHPで未公開の会社

企業の保険料率を調べていく中で、保険料率を公表していない企業がいくつもありました。
保険料率を知るためには、ログインを求められてしまい、加入者しか保険料率を公表していないようです。
以下は非公表の企業です。

【保険料率をHPにて公表していない健保組合】(2018年6月時点)

キーエンス、みずほ、ファナック、セブン&アイ、第一三共、東京エレクトロン、NHK、日本相撲協会、電通、博報堂、野村証券、日本原子力発電、新生銀行、税務会計監査、農林水産関係法人、経済産業関係法人、慶応義塾、AIG、アメリカンファミリー、ローソン、アビーム、PwC、アマゾンジャパン、横浜銀行

外資系の会社や金融・放送などの業界が多いですね。
もしこれらの保険料率をご存知の方がいらっしゃったら、教えて頂けると嬉しく思います。

総合型の組合健保・保険料率ランキング(2018年)

今まで見てきたのは単一の健保組合でした。
前半でご説明したように、中小企業であっても、同じ業種の複数の会社が集まって共同で独自の健保組合を設立することもできます。
この健保組合を総合型と呼びます。
次はそういった複数の会社が共同設立した総合型健保組合の保険料率ランキングをご紹介します。

企業名 個人負担 企業負担 合計
神奈川県協同 4.10% 5.10% 9.20%
出版 4.15% 4.65% 8.80%
海空運 4.20% 4.70% 8.90%
関東ITソフトウェア 4.25% 4.25% 8.50%
東京都報道事業 4.30% 4.30% 8.60%
東京不動産業 4.30% 4.30% 8.60%
電設工業 4.30% 4.70% 9.00%
民間放送 4.40% 4.40% 8.80%
GLV 4.45% 4.45% 8.90%
東京都情報サービス 4.45% 4.45% 8.90%
関東信用組合 4.50% 4.70% 9.20%
ダイヤ 4.50% 4.50% 9.00%
東京都医業 4.55% 4.55% 9.10%
自動車振興会 4.55% 4.55% 9.10%
東京土木建築 4.59% 4.59% 9.17%
東京都歯科 4.60% 4.60% 9.20%
服装 4.60% 4.60% 9.20%
東京都農林漁業団体 4.70% 4.90% 9.60%
通信機器産業 4.70% 4.70% 9.40%
東京港運 4.70% 4.70% 9.40%
東京都食品 4.75% 4.75% 9.50%
神奈川県情報サービス産業 4.75% 4.75% 9.50%
全国設計事務所 4.78% 4.78% 9.55%
東京実業 4.80% 4.80% 9.60%
玩具人形 4.80% 4.80% 9.60%
北陸情報産業 4.80% 4.80% 9.60%
全国印刷工業 4.85% 5.15% 10.00%
東京薬業 4.85% 4.85% 9.70%
人材派遣 4.85% 4.85% 9.70%
東日本プラスチック 4.90% 4.90% 9.80%
東京都金属プレス工業 4.90% 4.90% 9.80%
セメント商工 4.90% 4.90% 9.80%
倉庫業 4.90% 4.90% 9.80%
全国外食産業ジェフ 4.90% 4.90% 9.80%
電子回路 4.90% 4.90% 9.80%
日本金型工業 4.93% 4.93% 9.85%
東京自転車 4.95% 4.95% 9.90%
洋菓子 4.99% 4.99% 9.97%
東京都自動車整備 5.00% 5.00% 10.00%
東京都家具 5.00% 5.00% 10.00%
関西文紙情報産業 5.00% 5.00% 10.00%
全日本理美容 5.00% 5.00% 10.00%
神奈川県鉄工業 5.00% 5.00% 10.00%
関東めっき 5.05% 5.05% 10.10%
東京貨物運送 5.10% 5.10% 10.20%
デパート 5.10% 5.10% 10.20%
全国硝子業 5.15% 5.15% 10.30%
石油製品販売 5.25% 5.25% 10.50%
神奈川県自動車販売 5.30% 5.58% 10.88%

4%後半から5%前半と協会けんぽと変わらないところがほとんどです。
やはり単一の組合健保との格差は大きいですね。

また、ほとんどが労使折半で保険料の50%を個人が負担しています。

全ての健康保険組合の平均保険料率(2018年)

健保連の発表によると、全ての健康保険組合(1389組合)の平均保険料率9.215%だそうです。
労使折半だとすると、個人負担は約4.6%
個人負担の最も低い料率がアステラスの2.6%ですから、大きな格差があることが分かります。


以上、今回の調査結果でした。
自分の調べられる範囲でランダムで調べたので漏れは多々あるはずです。
その点ご了承ください。

今回の結果で明らかになったのは、大企業と中小企業の健康保険料率が大きく異なるということです。

そもそも、大企業と中小企業の間には賃金格差があります。(参考
更に、給与から控除される健康保険料も大きな差があることが今回の調査で分かりました。
先ほども書きましたが、保険料率が違えど、受けられる医療サービスに変わりはありません。(組合独自の付加給付の違いはありますが)
窓口負担割合もどの組合も同じです。

そう考えると、とても不公平感のある制度に思えてしまいます。
「保険料率を一律にせよ!」とまでは思いませんが、少なくとももっと公の場で比較され議論されるべき問題だとは感じます。

今回の調査結果が、議論の一助になれば嬉しいです。

なお、今回触れられなかった共済組合の保険料率は別の記事にてご紹介します。