少子化の進行をなんとか防ごうと、政府は男性の育児休業取得に力を入れています。
この記事を書いている時点(2019年9月)では、「男性の育児休業取得を義務化する!」なんていう提案が政府内でされています。(参考)
昨今男性の育児休業取得は年々増えてきているといわれていますが、
実際どれぐらいの人が育児休業を取得しているのか?
取得した男性は、どれぐらいの期間休んでいるのか?
政府の調査資料をもとに調べてみました。
男性の育児休業取得率はどれぐらいか?
厚生労働省が毎年発表している雇用均等基本調査の平成30年度版によると、
男性の育児休業取得率は、6.16 %だそうです。
この数字は、1年間(2016年10月~2017年9月)に配偶者が出産した男性のうち、育児休業を取得した人の割合です。
ちなみにこの年の女性の取得割合は、82.2 %。
女性と比べると絶望的な低さですが、男性の取得率は年々上昇しています。
(平成30年度雇用均等基本調査(確報)より筆者作成)
政府はこの割合を、2020年までに13%とすることを目標にしています。
目標達成までまだまだ道は長そうですね。
男性の育児休業取得日数はどれぐらいか?
次に、取得日数についてみていきましょう。
法律上は、子どもが1歳を迎えるまで育児休業を取得できます。(延長すれば最大2歳まで)
育児休業を取得した男性は、実際にどれぐらいの期間休んだのでしょうか?
最多は、5日未満。
取得した男性の7割以上が、2週間未満しか取得していないようです。
ちなみに、女性の場合は、「10か月~12か月未満」が最多の 31.3 %です。
ほぼ丸1年休業する女性に対して、男性は2週間。
1~2週間の育児休業を取得しただけで「イクメン」呼ばわりされてしまうのが日本社会の現状なんですよね。
男性の育児参加はまだまだ道は遠い気がします。。
なぜこんなにも短いのか?
多くの人が2週間未満しか取得しない理由として、一番は男性が取得しづらい雰囲気が日本社会にあるからなのだろうと思います。
もう一つ人事担当者目線から考えられる理由として、政府の助成金制度が挙げられます。
厚生労働省の両立支援等助成金
男性の育休を取得させた事業主には、助成金が支給されます。(2019年9月現在)
いろんな条件がありますが、中小企業なら5日間の育休を取得させれば57万円の助成金がもらえてしまうのです。
ルールがかなり細かく決められているので、詳細はこちらにてご確認ください。
この制度自体は賛成なのですが、この制度により人事担当者の頭には、「男性の育休は5日間以上!」という基準ができてしまったわけです。
育休の取得を考えている男性は分からないことだらけなので、多くの方が人事に相談にきます。
男性でも育休とれるって聞いたんですけど、だいたいどれぐらい取得しているんですかねー?
聞かれた人事担当者は助成金のことが頭にあるため、こう答えてしまいます。
そうですねー。だいたい少なくとも1~2週間はみなさん取得されていますよー。
政府が5日間という基準を定めてしまったため、「男性の育休は少なくとも5日間」という、とってもスケールの小さい認識が広まってしまったように思うのです。
男性の育児参加を促進するためには、「男性の育休は数か月の取得が当たり前」っていう常識を一から作っていく必要があるのでしょう。
政府の目標は取得率ではなく取得日数で語ろう
先ほどもご紹介したように、政府は男性の育児休業取得率を 13 %まであげることを目標にしています。
ただ、この数値って1週間未満など超短期間の人も含めた数値目標です。
大事なのは、どれだけ男性が育休を取得したか?よりも、どれだけ長期間育児に参加できたか?だと思うんですよね。
そう考えると、将来的には取得率ではなく取得日数で議論していくべきなんじゃないのかなぁと思います。
そして、助成金制度も、給付条件を1か月以上の取得にするなどして、長期取得を促進するような給付制度に変えていった方が効果的なのではないかな? と、思う次第です。