2020年のとある日、勤務先にて年金事務所の監査を受けました。
年金事務所の監査を受けるのは初めてでしたので、通知を受けてから当日まで緊張した日々を過ごしました。
事の発端は、年金事務所から「令和元年度 厚生年金保険及び全国健康保険協会管掌健康保険被保険者の資格及び報酬等の調査(総合調査)の実施について」という非常に長いタイトルの文章が送られてきたことです。
この調査は全事業所が対象とのことなので、近いうちにみなさんの会社にも調査が実施されるはずです。
今回は、そんな年金事務所の総合調査についてまとめていきます。
年金機構が行う総合調査とは?
この調査は、5年周期で実施される年金手続きに関する調査です。
厚労省の方針により、2019年から5年間かけてすべての事業所を対象にした一斉調査を行っているそうです。(当日の担当者によると)
この調査を一度受ければ、むこう4年間は同様の調査を受けることはないようです。(上の方針が変わらなければ)
総合調査の必要書類は?
求められた書類が結構多くて大変でした。
・労働者名簿
・雇用契約書
・源泉所得税領収書&源泉徴収簿(直近2年分)
・賃金台帳、給与明細書(直近2年分)
・出勤簿(直近2年分)
・決定通知書(直近2年分)
・雇用保険適用関係書類(特定適用事業所のみ必要)
雇用契約書って全社員分用意しないといけないのか?と、困惑したのですが、事前に担当者と電話で相談して社会保険未加入者分のみにさせてもらいました。
また、PDFで保管されている資料についてはそのままPDFでお渡ししました。(閲覧用のPCを貸与)
総合調査当日の流れ
調査日はこちらの希望をする日を考慮してくれました。
調査当日は1日のみで、2時間ほど。
調査担当者は1名のみです。詳しくは後半に記述しますが、国税の調査官に比べ、だいぶおとなしそうな方でした。
調査の流れは、
② 準備した書類の確認
③ 書類のチェック
④ 結果の報告
メインである③の時間は、同席する必要はないため、自分のデスクに戻って終了連絡を待ちます。
調査内容(どんな点をチェックするのか?)
当日の担当者からの説明や結果報告の内容から察するに、以下の内容を重点的にチェックしているようです。(私の推測を含みます)
書類の保管
決定通知書などの書類が2年間ちゃんと保存されているか?
法律で2年間の保存が決められています。
パートタイマーなどの社保未加入者
所得税領収書の課税人数と社会保険の加入者数とで大きな乖離がないか?
未加入者の雇用条件は、社会保険加入基準をオーバーしていないか?
パートタイマーの雇用条件と実際の労働時間に乖離がないか?
定時決定時に2等級以上増えている者
定時決定ではなく、その前に随時改定で変更すべき社員ではなかったのか?
事前に調べてきた対象者
調査官の手元には従業員の名前が数名書かれたリストがありました。
事前にチェック対象者を調べたうえで調査に臨んでいるようです。
調査の結果
調査の結果は、おとがめなしでした。
書類は2年間ちゃんと保管されていましたし、定時決定時に2等級以上差がある人はみなさん残業代の増減でした。
ランダムで調査した対象者は全て正しかったので、指摘事項はありません。
正しく申請している自負はあったのですが、問題なしとの報告を聞いてホッと一安心しました。
今回の調査で指摘を受けた場合は、専用の申請書類が渡されて、追加の保険料を一括で納めます。
一方、問題なしの場合は、何も書類は渡されません。
国税局の税務調査と年金事務所の監査はどっちが厳しい?
私個人の体験談でいうと、税務調査の方が百倍厳しかったです。
今回の年金監査の数か月前に、国税局の税務調査を受けました。
税務署の職員は、
「なにがなんでもタダでは帰らない。絶対に追徴してやる!」
といった感じで意気込みはすさまじいものでした。
具体的には書けないのですが、指摘できる事項をあまり見つけられなかった税務署職員は、最終的に無茶苦茶な指摘をしてきたため、調査最終日は壮絶な口論バトルに発展しました。(調査期間が終わった現在もバトル中、、)
そんな調査をつい最近受けていたため、「今回はどんな奴が相手だ?」と、ファイティングポーズをがっちりとって臨んだのですが(笑)、結果は肩透かしを食らった形でした。
調査担当者はなんだかお疲れ気味
調査担当者の女性からやる気はあまり感じられず、調査の仕方も厳しくチェックしているようには見受けられませんでした。
時間内にマニュアル通りサンプル調査して、問題なければそれでOKといった印象を受けました。
調査終了後、担当者の方に少しお話を聞いたところ、
今は1日1~2件調査訪問しているのですが、このスケジュールだと到底間に合わないんです。どうしようって感じです。
と、なんだかお疲れ気味でした。
5年間で全数調査という過密な調査スケジュールを組まされたことで、現場の調査担当者は相当疲弊しているようです。(調査を受ける側は必ず反発するでしょうし。)
チェックされる側はラッキーかもしれませんが、これでいいのかなぁ?と思いつつ、調査官を見送りました。
加入漏れを厳しく調査したいなら、マンパワーに頼った全数調査よりも、疑いのある事業所の選別方法に力を入れたピンポイント調査のほうが効率的なのでは?
そんなことを考えさせられた調査でした。
とはいえ、今回の調査があまり厳しくなかったのは、私の勤務先だけだった可能性もあります。
調査を受ける際には、今回ご紹介した調査内容の中で指摘されそうな項目を事前にチェックしておいて、反論できる準備をしておくことをおすすめします。