経済界の強い要請で2019年4月に導入された「高度プロフェッショナル制度」。
一体どのぐらいの企業が導入しているのでしょうか?
参議院内の厚労委員会という委員会で、実態が明らかにされました。
高プロを導入した企業数と適用された労働者数
導入から6か月経過した2019年9月末現在、
高度プロフェッショナル制度の適用を受けた労働者は、
6社 353人。
業種別の内訳は以下の通り。
金融ディーラー:11人
経営コンサルタント:341人
研究開発担当:1人
(全て2019年11月7日参院厚労委員会での加藤厚生労働相の答弁内容より)
鳴り物入りで導入された制度でしたが、半年たっても約350人にしか適用されていないことが判明したのです。
日本の雇用者数は、6017万人(2019年9月時点)なので、高プロが適用されている労働者の割合は、0.0006%。
どうりで周りにいないわけですね。
高プロがまだ導入されていない業種
高プロが適用されるのは、以下の5業種で年収が1075万円以上の人たちです。
・金融商品の開発業務
・金融商品のディーリング業務
・アナリストの業務(企業・市場等の高度な分析業務)
・コンサルタントの業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案又は助言の業務)
・研究開発業務
今回発表された内訳は、金融ディーラー・経営コンサルタント・研究開発担当の3業種のみでした。
つまり、金融商品開発業務と金融アナリストは、まだ高プロが適用されていないようです。
なんてったって導入ハードルが高い
高プロを適用できるのが「5業種の年収1075万円以上の労働者」という非常に限定されているのに加え、運用のルールもハードルが高いのがこの制度です。
・労使委員会の設置⇒4/5以上の決議⇒労基署への届け出
・労働時間の管理(残業代は支払わないけど健康管理のため)
・年間104日以上の休日の付与
・健康確保措置
・同意の撤回や苦情処理の対応
これだけ厳しかったら、人事担当者からすると導入をためらってしまうのは当然かなぁと思います。
脱時間給の議論を
高プロ制度は、経営者側が導入を主張したけれど、野党や労働者側が強固に反対した結果、非常に制限の多い(骨抜き?)制度となってしまいました。
私は、日本人の働き方をアップデートしてくためにも、脱時間給の議論は引き続き深めていくべきだと思います。
今回の高プロの失敗(?)で、脱時間給の議論が尻すぼみになってしまわないことを祈るのみです。
(とまぁ、最後は日経新聞の社説っぽいまとめ方をしてみました。)