【2019年】トヨタ自動車の人事制度改革まとめ

2019年1月に実施されたトヨタ自動車の人事制度改革。
幹部層の人事制度を大きく変えたそうで話題を呼んでいましたね。

役員の数が半分以下に…トヨタ自動車「2019年人事」を読む(井上 久男) @gendai_biz
これまで常務だった人が、「その他大勢」の社員と同じランクになる。豊田章男社長が発表した新人事が、驚きをもって迎えられている。日産の騒動をよそに、トヨタ自動車が進める改革の核心に迫る。

今回、様々な記事や雑誌を参考にしながら自分なりにまとめてみました。
一言でまとめると、
「総合職や年功序列という考え方はもう捨て去ろう。プロフェッショナルな実力主義で今後はいくよ」というメッセージを会社は社員に発信したいのかな? という印象を持ちました。

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トヨタが置かれた昨今の背景

まずは、トヨタが置かれた昨今の背景について簡単におさらいします。

【外部環境】

・テスラやグーグルなど、競合が増えてピンチ!
・自動運転や電気自動車など、技術はドンドン高度化して、変化も速い!

【内部環境】

・社内はマネジメント能力を優先して評価する風潮
⇒ 専門的な人材が育ちにくい!

・昇格には4~5年を要する
⇒ 優秀な人材が登用できない!
(出典:労政時報第3989号より)

最近の豊田社長の会見を見ていても、社員が時代の変化についていけていないことに対して、とても強い危機感を抱いているようです。

この動画の中でも、
「社員との距離がこんなにも離れていることを今まで感じたことはない」
「成長しようと努力しない人(がいる)」
「(自分の考えが社員に)伝わっている実感がない」
など、非常に辛辣な発言をしています。

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人事制度変更の概要

そんな危機感の中で、人事制度が新たに改定されました。
この記事では5つの点に注目して紹介します。

① 「プロ人材」の定義
② 人材配置の最適化
③ 資格等級の見直し
④ 給与制度の見直し
⑤ 評価の明確化

① プロ人材とは?

今回の人事制度で新たに「プロ人材」という言葉が出てきました。

プロ人材
会社の方向性を理解し、自ら動き、メンバーを動かし、会社の戦略をスピーディーに実行することができる人材

会社が求める社員像をインパクトのある言葉で明文化したのですね。
今後はこのプロ人材を育成&評価することを宣言しました。

「会社の方向性を理解する」という言葉を最初に持ってきたあたりをみると、社員に対する経営陣の危機感が現れている気がします。

② 人材配置の最適化

今までは会社主導の人材配置だったのが、今後は自らの意思で異動しやすくなりました。

【導入した制度】
・社内FA(フリーエージェント)制度
・特定ポストに関する社内公募
・希望性の出向
これらの制度により、より自分のキャリアを選択できる職場環境を実現しました。

③ 資格等級の見直し

今回の人事制度の目玉の一つ、資格等級の見直しです。
この変更により幹部職を簡略化しました。

課長以上の資格を幹部職として一つにまとめる。

技範級以上の資格、いわゆる管理職(約2,300名)を「幹部職」として一括りにまとめました。


(出典:労政時報第3989号)

今までは役職が資格ごとに細かく分かれていて、一つ一つ階段をのぼっていかないと理事や役員にはなれませんでした。

細かく分かれていたこの資格制度を辞めて、今後は「基幹職」と「幹部職」の2つに大きく分類しました。こうすることで、幹部職に昇格と同時にすぐさま本部長に配置ができるような人材配置が可能になったのです。
在籍年次や学歴関係なく、実力のある人材を登用するよ! というメッセージを強く打ち出した形ですね。また、いつでも入れ替えが可能にしているため、管理職にも緊張感を持たせる狙いもあるようです。
これによってスピーディーで柔軟な人材配置を推進します。

組織部門の数を一割削減(大括り化)

幹部職の簡略化に伴い、組織部門の数を減らしました。

従来 2019年1月
「部」の数 239 220
「室」の数 688 609

部門の数を削減することでマネジメントポストを減らしました。
今まで以上に現場に権限を委譲することで、この削減を可能にしたようです。

役員を半減

幹部職より上に属する役員の数を半分にしました。

従来 2019年
役員の人数 55人 23人

また、2020年4月には副社長を廃止して、執行役員に一本化もしています。

④ 給与制度の見直し

今回の改正で、今まで以上に個人の評価が給与や賞与に直結する制度に変更されました。
(非管理職の給与制度は今回変更されず、基幹職・幹部職のみ変更。以下では幹部職を例にして紹介します。)

月給(幹部職)

今までは、資格給と職能給という2本立てで給与を構成し、職能考課(人事考課)の結果は職能給にのみ反映されていました。資格給は資格毎に定額を支給。

今後は、職能資格給として一本化し、月給全体が人事考課の結果に変動する仕組みとしました。
→在籍年数にとらわれず能力で賃金改定を行う

※今回の制度移行時には、給与が下がらないように取り扱う
※基幹職は職能考課により昇給額が変動する仕組み。(幹部職に比べ影響率は小さくなる)

賞与

<全社員共通>
従来よりもベース額を下げ、加点額を増額しました。

これらの変更の結果、人事考課次第では基幹職でも上位の幹部職並みの年収がもらえるようになりました。

⑤ 人事考課制度の明確化し、透明性を向上

人事考課制度については詳しく知ることができませんでしたので、ポイントだけお伝えします。

評価基準の明確化

今後は、「人間力」を前提とした上で「実行力」を評価するようになりました。

【人間力】
「トヨタの価値観」の理解・実践の度合い
評価基準:素直・当事者意識・チームワークなど
評価方法:上司がチームメンバーや前後工程の部門に確認
【実行力】
=期待される役割を実行する上での能力の発揮度合い
評価基準:専門性・課題創造力・マネジメント能力など
評価方法:職責レベルに応じた能力発揮ができているかを上司で判断

職責レベルごとの役割をガイドラインで明確化し、社内のイントラネットに掲載しているようです。(外部には公表していないようで見つけられませんでした。)

職責レベルに応じた実行力の評価が、翌年の賃金改定に反映されます。

また、この評価制度とは別に、年に一度チャレンジテーマを設定します。
その結果が、夏冬の賞与に反映されるそうです。

各資格に求められる期待値を明確化

上司との面談回数を年1回から年3回に増やしました。
「自分は結果出しているのに、上司が評価してくれない!」というミスマッチをなくすためでしょう。

感想

今回の制度変更をまとめて思ったのは、導入部分でも書きましたが、「年功序列」と「総合職」という考え方を今すぐにでもトヨタは捨て去りたいのかな? という印象を強く受けました。
「実力主義」の「プロ集団」にならないとこれから生き残れないぞ!
というメッセージを社員に対して訴えかけている気がします。


この制度変更実施後、豊田社長は「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べたことでちょっとしたニュースになりました。この発言を機に、解雇規制の緩和が今まで以上に議論されてくるでしょうから、トヨタは今のうちからその準備を社内でしておきたいのかな?と勘ぐってしまいますね。

過去のトヨタ社長の中には、「経営者よ、クビ切りするなら切腹せよ」なんて本を出している人もいましたが、これから先トヨタはどう変わっていくのでしょうか?
トヨタの変化がこれからがとっても楽しみです。

【参考】
労政時報 第3989号
トヨタ自動車公式サイト
現代ビジネス

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