【2018年5月】確定拠出年金法の改正~運用商品の上限と自動移管のルール~

2018年5月、確定拠出年金法が改正されました。
利用者の利便性を高め、今まで以上に普及させようとする意図を感じる今回の改正。

様々なルールが改正されましたが、その中で利用者に大きく関わる2つの点を今回ご紹介したいと思います。

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運用商品ラインナップの商品数は上限35本まで

運用商品の上限数

これまで企業型確定拠出年金の商品数は上限が設定されていませんでした。

「商品が多すぎて選ぶのが大変!」という声が多く挙げられたとのことで、商品数の上限を35本に定められました。

【運用商品上限】

今まで 2018年5月~
上限なし 35本

現時点で商品数が35本を超えている企業は2023年までに35本以下にしないといけません。

 

【この改正について思うこと】

今回の改正は、「商品が多すぎて従業員が選ぶのに苦労するから、会社の方で商品数を絞って選びやすくしてあげよう」ということで、運用対象商品数を減らしてあげた形です。

この理論は、あまりにも加入者の金融リテラシーを低く見すぎているのではないか? と感じてしまいます。

選択肢が多すぎると判断力が鈍るという「決定回避の法則」がベースになっているのでしょうが、現実社会にはその何千・何万倍の金融投資商品が無数に存在しています。

日本人の投資活動の入り口としてDCを位置づけているのであれば、選びやすいように商品数を減らしてあげることは、むしろ逆に日本人の金融リテラシーをより一層下げることになってしまうのではないかと思うのです。

皆さんはどのように感じますでしょうか。

 

商品除外の同意要件の緩和

商品数の上限設定により、現在商品数が35本を超えている企業は35本以下にしないといけません。(2023年までに)

今まで運用商品を対象から除外する場合は、その商品を保有している全員から同意を得なければなりませんでした。

今回の改正により、保有者の2/3以上の同意で除外が可能になりました。

【商品除外の同意要件】

今まで 2018年5月~
保有者全員の同意 2/3以上の同意で

会社が選ぶ対象商品を除外しやすくなりました。

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自動移管防止サポートの充実

自動移管についてのデメリット

まず、DC加入者が企業を退職した場合、6か月以内に自分で手続きをしないといけません。(次の勤務先のDCに移管 or 個人型に移管どちらの場合も)

手続きをしなかった場合、資産は自動で売却化・現金化され、国民年金基金連合会に移管されます。

移管後は、無利息の状態で手数料だけが月々引かれるという最悪な状況になってしまうのです。

【自動移管にかかる手数料】
移管時の手数料総額:4,269円
移管後の手数料月額:51円 (2018.6.21現在)

 

実際、自動移管されてしまう人は数多くいるようです。

知らず知らずのうちに自動移管されて、手数料だけどんどん引かれる。
そうならないように、自動移管防止のための2つのサポートが今回の改正で設けられました。

自動移管防止のサポート①自動移管前のサポート

従来:離職後、6か月以内に自身で移管手続をしないと自動移管
今後:新たに加入するDCに自動で移管(基本情報が合致すれば)

転職した場合、前の勤務先で貯めていた資産を転職後のDC口座に移管する手続きを自分でしなければなりませんでした。(⇐この手続きを忘れる人多数。)

今後は、過去のDC資産を新しいDC口座に自動で移管してくれるようになりました。
但し、過去に登録された基本情報と新しく登録した基本情報が完全に一致していれば。という条件付きです。

「基本情報」とは、基礎年金番号・性別・生年月日・カナ氏名。
これらの情報が完全一致していることが条件です。
一致しなければ、今まで通り国民年金基金連合会に移管されてしまいます。

そのため、従来通り移管手続は自身で手続きした方が確実です。
しかし、この法改正により自動移管されてしまう人はかなり減るのではないでしょうか。

自動移管防止のサポート②自動移管後のサポート

従来:自分で手続きしなければ国民年金基金連合会に保管されたまま
今後:基本情報が一致すれば、現在のDC口座に移管

一度、国民年金基金連合会に自動移管されると、自分からアクションを取らない限り、ずっと保管されたままでした。
転職先で新たにDC口座を作った場合は、国民年金基金連合会にある資産を新しいDC口座へ移管する手続を自分で行う必要がありました。

こちらも今後は、自動で移管がされるようになります。
(国民年金基金連合会⇒新しく作ったDC口座へ)
同じく、基本情報の確認が取れ次第という条件付きです。
実施時期は、2018年9月以降順次実施される予定です。
対象の方には、国民年金基金連合会より2018年5~6月に通知文が送付されているはずです。


どちらの移管サポートも、基本情報の完全一致が条件です。

DCに登録する際は、申込書に個人情報を適当に記載せず、丁寧に記載する必要がありますね。

今回の改正を機に、自分のDC資産がどこに保管されているのか、再度確認してみてはいかがでしょうか。