未婚のひとり親にも寡婦(夫)控除の適用を【署名活動が税制を変えるか?】

2018年11月21日税金・年末調整

婚姻歴のない未婚のひとり親には、寡婦控除が適用されません。(2018年11月時点)
このルールを皆さんはご存知でしたでしょうか?

寡婦控除は、離婚歴があるひとり親には適用されます。
一方で、結婚しないままひとり親になったケースには寡婦控除が適用されないのです。

この「差別」を是正しようと、ある女性が署名活動を行いました。
ネット上で署名を集め、政府に対して提言を行ったのです。
はたして政府は動くのか?
今回はそんな寡婦控除に関する署名活動についてご紹介します。

寡婦控除とは?

寡婦控除は次の A or B どちらかの条件を満たすときに適用されます。(2018年11月現在)

寡婦控除の適用条件 (AorBどちらか)

A 夫と死別 or 離婚し、ひとり親として子供を扶養しているか、扶養親族がいる人
B 夫と死別し、合計所得金額が500万円以下の人(子供の有無関係なし)

適用される控除額は27万円です。
A かつ合計所得金額が500万円以下の人は控除額は35万円に増額されます。<特別寡婦>
27万円の控除はとてもインパクトの大きい数字ですね。

一方で、女性だけでなく男性にも控除が適用されます。<寡夫控除>
ただ、寡夫控除については、子どものいない親には適用されません。
男女で適用される条件が異なるのです。
寡婦(夫)控除の適用条件を表にまとめました。↓

寡婦(夫)控除適用対象一覧表

寡婦(夫)控除対象 控除額 所得制限
死別/離婚したひとり親(女) 27万円(35万円) なし
死別/離婚したひとり親(男) 27万円 合計所得500万円以下
死別した女性(子なし) 27万円 合計所得500万円以下
死別/離婚した男性(子なし) 対象外

ひとり親の女性の場合、所得が500万円以下なら控除額が増額されます。
また、男性が控除を受けるためには、合計所得金額が500万円以下で子どもを扶養している必要があります。

別れた「夫」・「妻」の定義について

ここで注意したいのが、寡婦控除が適用されるにためには戸籍上の配偶者と離婚・死別していることが条件です。
つまり、一度籍を入れていたことを要件としています。
「子どもができたけどパートナーと結婚しないまま別れてしまった。今は一人で子どもを育てています。」
こういった方には、寡婦控除が適用されません。 (2018年11月時点)

寡婦(夫)控除対象 控除額 所得制限
死別/離婚したひとり親(女) 27万円(35万円) なし
死別/離婚したひとり親(男) 27万円 合計所得500万円以下
死別した女性(子なし) 27万円 合計所得500万円以下
死別/離婚した男性(子なし) 対象外
未婚のひとり親(男・女) 対象外

この差別を是正しようと、ある女性がネット署名サイトで署名活動を行いました。

ネット署名サイト

その署名活動を行った署名サイトはこちら。
Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)

このサイトは、アメリカ発の署名サイトで、2012年から日本版ページが設けられました。
過去には、児童扶養手当の増額を求めた署名活動が行われ、結果として児童扶養手当の増額が実現されるなど、多くの実績を残しています。参考

寡婦控除是正に関する署名活動

この「Change.org」で、現行の寡婦控除制度に悩む女性が署名活動を行いました。
その署名がこちらです。

請願者の女性の方は、未婚出産をしたことで寡婦控除が適用されず、不利益な思いをしてきたそうです。
以下は、彼女のコメントです。

寡婦控除が適用されていれば、所得税、住民税などの税金や子育て支援サービス料、市営住宅家賃等が、寡婦控除が適用されると大きく軽減されることに気づかされました。
(中略)
もし私が1度でも離婚を経験していれば、まだ少しはまともな生活ができたのではないかと・・今の所得で計算すると、離婚歴があれば寡婦控除の中でも特別寡婦の対象になり、且つ非課税世帯となります。

寡婦控除という制度に不満を持った彼女は、2017年11月から是正に向けた署名活動を開始します。
要望内容は3点です。

署名による要望

① 未婚ひとり親への適用拡大
② 男女や収入などの要件撤廃(すべてのひとり親に適用)
③ 「ひとり親控除」への名称変更

署名の目標人数は25,000人。
この要望に対して集まっている署名は23,606人です。(2018年11月21日21時現在)

彼女は、税制改正の議論が本格化する前の2018年10月末に、集まった署名を関係省庁へ提出しました。参考

寡婦控除改正の政府の動き

厚労省の税制改正要望(2018年8月)

実はこの署名活動が始まる前から、寡婦控除制度の見直しは政府内で議論されてきました。
2018年8月に、厚労省が発表した「2019年 税制改正要望の概要」に寡婦控除の改正案が盛り込まれています。

内容は未婚のひとり親も対象に加えるという案です。
彼女の要望の一つ目ですね。

与党の方向性定まる(2018年11月)

それから3か月後の2018年11月下旬、各メディアが寡婦控除に関する政府の動きを報道しました。
内容は、「未婚のひとり親も寡婦控除の対象にする方向で調整をする。」というものです。
未婚のひとり親への適用に向けて関係機関と調整を始めたようなのです。
毎日新聞の記事では、彼女の署名活動についても触れており、改正を望む人が多いことを伝えています。

しかし、未婚のひとり親拡大案には所得制限が設けられていました。
現時点で金額は未定ですが、ひとり親全員には適用しないことを検討しているようです。

与党の寡婦控除改正案 【2018年11月時点】

寡婦(夫)控除対象 控除額 所得制限
死別/離婚したひとり親(女) 27万円(35万円) なし
死別/離婚したひとり親(男) 27万円 合計所得500万円以下
死別した女性(子なし) 27万円 合計所得500万円以下
死別/離婚した男性(子なし) 対象外
未婚のひとり親(男・女) ←New! 対象外 対象(27万円?) 所得額による制限あり

所得制限額は現段階では未定です。
今回の政府案と署名活動を行っている彼女の要望とを比較してみましょう。

署名活動による要望 政府案(2018年11月)
① 未婚ひとり親への適用拡大 (所得制限付き)
② 男女や収入などの要件撤廃 ×
③ 「ひとり親控除」への名称変更 ×

①の「未婚のひとり親への適用拡大」が所得制限付きで盛り込まれたのみですね。。
これから議論されていく中で修正が入る可能性はありますが、条件が大きく緩和されることはないかと思います。
今後の法案制定の動きに注目していきたいです。

ネット署名にあなたも参加されてみては?

ネット署名の登場により、市民の声を今まで以上に行政に届けやすくなりました。
今回の寡婦控除に関する署名がどこまで法案に反映されるか分かりませんが、社会の関心を集めるという点においては成功を収めたと思います。

寡婦控除制度についての注目がますます大きくなり、彼女の要望が税制に反映されることを望みます。
私自身、彼女の要望には賛同しているので、ネット署名しました。
共感される方がいましたら、ネット署名してみてはいかがでしょうか?


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