定期券を購入する際、経路を分割して購入すれば、定期券が安くなるのをご存知でしょうか。
JRのみの制度ですが、この制度を使えば会社から支給される通勤手当額を低く抑えることができます。
通勤手当を低額にするということは、社会保険料を安くすることができるのです。
今回はそんな経路分割購入を使った社会保険料節約についてのご紹介です。
通勤手当も社会保険料が控除される
まず、前提として、会社から支給される通勤手当にも社会保険料がかかってきます。
「自分が負担した分を手当としてもらっているだけなのに、なぜ保険料の算定に含まれるのか!?」
と納得のいかない方多いと思います。私もその一人です。
なぜなのか?ということに関してはこちらの記事にまとめています。
事例
まずは、具体的な事例のご紹介から。
【事例】
八王子駅 ⇒(中央線)⇒ 新宿駅 ⇒(山手線)⇒ 日暮里駅
上記の経路で通勤している社員の場合。
八王子駅から日暮里駅までの定期を購入すると、
6か月定期代:114,780円
それに対して、乗り換えする新宿駅で区切って経路を分割してそれぞれ購入するとどうなるでしょうか。
●八王子駅から新宿駅 6か月定期代:68,250円
●新宿駅から日暮里駅 6か月定期代:27,920円
6か月定期代合計:96,170円
乗り換えの新宿駅で区間を区切って別々で定期券を購入すると、18,610円も安くなるのです。
「この買い方だと、定期券を2枚持つことになるわけでしょ? 」
と、思われるかもしれません。実は1つの定期券にまとめることができるのです。
分割定期券の購入方法
上記の後者の事例のように経路を分割して購入する方法を、「分割定期券」と呼びます。
この分割定期券の購入方法は、定期券を購入する際に申請すれば1枚の定期券にまとめて購入することが可能です。
上記の例の場合、
定期券申込書の「区間」欄に、
八王子駅―日暮里駅
とは書かずに、
八王子駅―新宿駅
新宿駅 ―日暮里駅
と別々に経路を記載し、窓口の方に「分割定期券でお願いします。」と伝えれば良いのです。
こうすれば、1枚の定期券で区間を分割して定期を購入することができるのです。
この方法で定期券を購入した場合、定期券の表面には
八王子駅―新宿駅
新宿駅 ―日暮里駅
と2行にわたって経路が記載されます。
JRのみしか適用されないことに注意。
今まで見てきた分割定期券による割引は、JRのみで適用されます。
メトロなどの他社線にまたがっていると、1枚の定期券にまとめて経路を分割して購入することができませんので、要注意です。
どうしても経路を分割して購入したい場合は、定期券を2枚持ちにするしかありません。
なぜ、安くなるの?
経路を分割して購入すると、なぜ安くなるのでしょうか?
理由は、他社との競争が激しい区間だからです。
他の鉄道会社との競争が激しい区間では、JR は競争に負けないためにその区間の運賃を通常よりも低く設定しております。
この区間のことを「特定区間」と呼びます。
この「特定区間」に該当する経路では、定期券代が通常より割安になります。
ただ、割安が適用されるためには、乗車駅と降車駅がどちらも特定区間内である必要があります。
特定区間内の駅から特定区間外の駅までの経路の定期券だと、割安が適用されません。
そのため、経路を分割して購入するか・しないかによって定期券代が変わってくるのです。
上記の例の場合は、八王子駅から新宿駅までが特定区間のため、分割定期券にすることで割安になったのです。
特定区間の詳細は下記サイトをご覧ください。
https://butti15.com/post-4119/
どの経路が特定区間なのかは下記サイトで検索ください。
https://www.bunkatsu.net/bunkatsu/tokyo/
通勤手当の節約は、社会保険料の節約になる
定期券実費代を通勤手当として支給している会社がほとんどだと思います。
この場合、支給された通勤手当は非課税となります。
そのため、分割定期券で手当額を低くしたからと言って、社員にとってはメリットが感じにくいかもしれません。
しかし、通勤手当は社会保険料の対象にはなります。
つまり、通勤手当の節約は社会保険料の節約につながるのです。
実際、いくらの節約になるのか。
最初に見た例をもとに、八王子から日暮里の経路で計算をしてみました。
- 分割購入しなかった場合:114,780円
- 分割購入した場合 :96,170円 (どちらも6か月定期)
分割購入をして、通勤手当18,610円を節約した場合、社会保険料はどれぐらいの節約になるのでしょうか。
雇用保険料
本人負担:56円
会社負担:111円
合計 :167円
通勤手当は所得税の対象にはなりませんが、雇用保険の対象にはなります。
雇用保険料の本人負担分は0.3%のため、通勤手当18,610円の節約によって56円の節約になります。
健康保険料・厚生年金保険料
健康保険料や厚生年金は他の給与額との兼ね合いにより決まるため、一概には言えません。
ただ、6か月定期分で18,610円節約ということは、ひと月当たりでみると3,101円節約したことになります。
月額が3,000円違えば、社会保険料の算定の際に1等級違ってくる可能性があります。
例えば、20等級320,000円が19等級300,000円に下がれば、厚生年金の自己負担額は毎月1,830円節約できます。(平成30年5月時点)
毎月1,800円手取り額が変わってくるのは大きいのではないでしょうか。
健康保険料は加入する組合によって料率が異なります。
このように定期券の分割購入というちょっとした工夫をすることで、社会保険料を節約することができます。
ぜひみなさんもご自身の経路がこの制度に該当するかどうか、確かめてみてはいかがでしょうか。