いつも勉強させてもらっている「さーさん」が、人事部員必読の書としてTwitterで紹介されていた『ワークルールズ!』。
どの業界でも「この本読んでないのヤバいでしょ」の一冊は存在しまして。
IT業界で人事をしている場合の一冊はこちら。「キャリブレーション」という単語を知らない場合は今すぐ読むことを強く勧めます。
なんならエンジニアですら普通に読んでいます。https://t.co/qD0kGxILEz pic.twitter.com/rFHJVXEEGs
— さーさん@サマルトリア人事👑 (@HrReverse) February 18, 2020
IT業界ではないのですが、興味を持ったので早速購入して、読んでみました。
この記事では『ワーク・ルールズ』の感想と自分なりのまとめを記事にします。
読むのに苦労。けど読んでよかった。
正直言うと非常に読むのに苦労しました。
話しがよく脱線するし、(しかもアメリカ人しか知らないネタだから理解ができない)
和訳が直訳すぎるしで、読み終えるのにとても時間がかかりました。
ただ、内容は人事部員としてすごく興味深かったです。
「うちの会社もここまでとは言わないまでも、データドリブンな人事制度をやらないとなぁ」と、身が引き締まる思いを持ちました。
また、グーグルの人事制度の歴史を知れてストーリーとしても面白かったです。
自分なりのざっくりまとめ
この本は『ワーク・ルールズ』という題名通り、グーグル内のルールを事例付きで数多く紹介している本です。筆者はグーグルの人事制度を長らく務めてきた人物のため、本当にたくさんの事例が紹介されています。多すぎる分なかなか概要をつかみにくいのですが、自分なりにまとめると、
という点に集約できるかなと思いました。
→社員に制度の趣旨や内容をオープンにできる。
→社員との有意義な議論が可能になる。
→議論を通してさらにより良い制度が生まれる
→社員の会社に対する信頼度合いが高まる
徹底したデータ分析をスタートとすることで、上記のような良いサイクルをグーグルは築けていることを実感しました。
この流れをもう少し詳しくみていきたいと思います。
グーグルはとにかくオープンでデータドリブンな会社
グーグルはとにかく透明性とデータ分析を非常に大事にしている会社です。
透明性
・ソースコードは全ての社員に開示
・週に一度の全社員会議で、社員からどんな質問にも答える時間を設ける
・新製品の仕様書を全社員に公開
⇒ 情報を全て開示することで、社員は会社から信頼されていることを実感できる。
※ちなみに、新製品の機密情報を外部に漏らしたら、次の日には解雇されるそうです。性善説に基づきながらも厳格な対応をとっているからこそ実現できているのでしょう。
データドリブン
何をするにも、グーグルはデータに基づく客観性を重視しています。
→しかも、判断するのは直属の上司以外で構成された委員会
→辞めさせるのではなく、活躍できる方法を一緒に考える
→研究結果をツール化して、評価に反映。(しかも全世界に公表)
この「透明性」と「データドリブン」を根底にしながら、本書ではこれ以外にも様々な人事施策にチャレンジした経歴が詳細に書かれています。
特に面白いなぁと思った制度が、マネージャーへのフィードバック制度です。
マネージャーへの匿名フィードバック制度
アップワード・フィードバック・サーベイ(UFS)と呼ばれる部下から上司への評価を半期ごとに実施しています。
特徴的なのは、匿名でフィードバックを行うことです。
チームメンバーは半年に一度、下記のような質問に匿名で答えます。
その結果がレポートにされ、マネージャーに報告されます。
これらの結果はマネージャーの報酬には直接影響せず、純粋にマネージャーの成長のために提供されるそうです。マネージャーがこの結果を受け、自身の弱みを向上させたいと思った場合は、弱点に特化した教育プログラムを受けることができます。
会社はなんとこの評価をチームメンバーに公表することを推奨しています。メンバーにデータを開示することで、より具体的なフィードバックを受けることを会社は求めているのです。
これらのフィードバック制度を導入した結果、マネージャーに対する平均支持率は2年間で83%から88%に向上したそうです。
評価されるマネージャーは大変でしょうが、マネージャーの成長を促すし、チーム間の信頼関係は高まるしで、非常に面白い制度だなと思います。
まずは組織文化を変えなければ
かなり興味深い制度ですので、自社でも導入してみたいと思うのですが、そのまま導入すると大きな反発が出てきそうです・・。
まずは、透明でデータを重視する組織文化を築き上げていくことが必要かなと思います。
そのためにも、人事部員である私が今まで以上にデータ分析能力を高めて、データに基づいた議論を推進していく必要性を実感しました。
ということで統計学の勉強頑張ります・・。分析するならpythonまで勉強した方が良いのかなぁ?
いろいろ手探り中です。
時代遅れの人事部員にならないためにも。
「人事部も勘と経験からデータの時代へ」とよく言われておりますが、この本を読んだことでやっと具体的なゴールを定めることができた気がします。
「さーさん」がおっしゃるように人事部員は必読の書かもしれません。
時代遅れな人事部員にならないためにも、人事キャリアを築きたい人は読んでおいて損はない一冊です。